小諸に去る時、毎回「次はここに泊まろう!」と思う宿『中棚荘』
ようやく来ました。
事前に予約をしていきましたが、イメージしていた料金より高め。
コロナ禍を耐えてきましたが、ついに値上げをすることになってしまったそう。。。
確かにあの古い建物を維持していくのは経費と労力がかかるんでしょう。
草笛本店で蕎麦を食べた後、歩いて宿へ。。
遠回りしてきたので徒歩40分、千曲川側に一度降りて登り返します。
その為、宿への入館は食事処の『はりこし亭』から
はりこし亭の門をくぐり
案内に沿って進みましょう。
明らかに表玄関ではないがすのまま進みます。
到着しました!
中棚温泉 『中棚荘』
歩いてるときは気になりませんでしたが、到着すると疲れがでます。
平日だからかロビーに入ってもなにか閑散とした雰囲気
フロント、ロビーラウンジ兼ライブラリー
ここでチェックイン手続きをします。
地元の若い男性が相手をしてくれましたが、とても丁寧で気のいい方。。。こちらのどうでもいい話に長々と付き合っていただきました。
この中棚荘ですが、宿泊棟は大きく分けて『大正館』と『平成館』と二つあります。
開業は明治時代ですが、本格的に旅館業を始めたのは大正時代。
大正館はその時の建物なんでしょう、平成館は年齢によっては新しい建物といった感覚があります、女将さんが言ってましたが「平成館(新館)といっても30年経つんで新しくはないわよね~」
今回宿泊したのは大正館の1F
大正館の方が料金が安かったのもありますが、こちらは部屋の間取りに風情があるんですよね~
フロントのある平成館から大正館へは一度表玄関を出て外にでます。
緑の綺麗な庭を少し歩くと、、、、
平成館とはうってかわってレトロな建物が見えます。
こちらが宿泊する大正館
草風亭とありますがこれは大正館にある食堂のこと
ここは平成館からにアクセスする玄関
こちらが開業時の玄関
少し戸が引っかかりますがしっかり使えます。
急な石段も年期が入ってます。
通りから階段が見えない。。。かなり急な階段なので心配な方は平成館に周ってから入りましょう。
この雰囲気だと紅葉の時期は綺麗でしょうね~
次は秋にこようかな。。
大正館の玄関をはいるとでてくるのがここ
共有スペースなんでしょうが、食事前の待合スペースとして使ってました。
ここの向かいに厨房があるのですが、その横には。。
でた!
島崎藤村!!
藤村は小諸義塾の講師時代に何度も宿泊しており旅館の開業時は手伝いもしていたそうです。
大正館の2階の角部屋は『藤村の間』と言われる人気の部屋がありますが、ここは藤村が『千曲川旅情の詩』を執筆した部屋です。
と、知ったかぶってますが、自分は藤村の事はほとんど知らず小諸市内でいろいろとゆかりのある建物、井戸などを見て少し知るようになりました。
作品もほとんど読んだことはなし、、、うる覚えですがだいぶ前に『破壊』は読んでいると思います。内容は全然覚えてないので読んだとは言えないでしょう。。。ただページをめくっていたのです。。。
こんな人気の部屋はありますが、泊まれれだどの部屋でもいい。。。2階より安い1階を予約して角部屋をリクエストしておきました。
建物は坂の途中にある為玄関が2階、同じ階に藤村の間のある2階客室と草風亭があり1階客室へは階段を下ります。
前方にはなにやら魅力的な流し
懐かしのタイルの流し台
蛇口からは温泉水がでており飲めます。
洗面所の横にはこのような小さな部屋が開放されてますが何の部屋だろう?
階段を降りた突き当りが今宵の部屋
客室『草枕』
間取りは6畳+3畳の角部屋
いいねえ~
感染防止対策として布団は既に敷いてあります。
こちらの3畳、居心地がよくほとんどこちらで過ごします。6畳間は寝る時のみ使用
こんな部屋だと藤村でなくても何か執筆したくなる?
テーブル上に用意されていたまろやかワイン
サービスなのかと思ったら元々そういったプランに申し込んでいたそうです。
知らなかった。。。(HPを見てスタンダードプラン予約すると自動的についてくるようです)
千曲川旅情の歌の一節
"千曲川に漂う波の岸に近い宿屋に入り "
解る方にはこの歌を読み解け、興味のある方はこれを知ろうとします。
風情のない男(自分)は何も考えずただ腰を下す。
ロビーでこの一節を簡単に意訳された記事を見ました。
この唄はこの後、
濁(にご)り酒 濁れる飲みて 草枕 しばし慰(なぐさ)む
と続いておりこれを繋ぐと
千曲川に漂う波の 岸に近い宿屋に入り
濁り酒を飲み しばらくの間 旅愁を慰める
となるそうです。
今夜は草枕に縁が有るような。。
ここでの草枕は旅寝することだそうです。
誰がどのようにして意訳するんでしょうね~ 奥の深い世界であり浪漫を感じずにはいられません。
草枕に泊まったとなると、濁り酒が欲しくなり翌日大塚酒造で買って帰るのでした。
温泉
部屋に入って落ち着きたいとこですが、山の汗を流すべくすかさずお風呂へ!
お風呂の場所は、大正館からはなかなか遠い道のり。。。
以前はこの元館にあったお風呂ですが現在は本館の奥の奥にあります。
先ずは大正館を出て平成館へ、
ロビーの前を通って階段にでますがここでもう行き方がわからない。。
チェックイン時に一通り聞いてますが、途中で「これは覚えられんな。。」と思い聞き流してました。
近くにいた従業員さんにここからの行き方を教えていただき温泉へ!
平成館の1階廊下をすすんでいくと温泉への入り口が
まだつきません。この石段をさらに上がるのです。
途中の東屋、湯上りに男女の待ち合わせ使ったりするのかな。。。
飲泉できます。
着いた、、女性用はさらに上
入るといきなりコレ!
いいですね、この大きい部屋風呂に入るような感覚
内湯(加温されてます)
ここはシーズンになると(10月~5月)名物『初恋りんご風呂』になります。
露天風呂
手前はぬる湯、奥はやや熱め
源泉がかなり低いそうでどちらも加温されているそうです。
タイミングよく管理される方が温度を確認しに来たので、いろいろとお話を伺うこともできました。
通常のチェックイン前だったので誰もおらず(そもそも平日なので宿泊客は少なかったですが)のんびり入れました。
やはり風呂はいい!
温泉ならさらにいい!
湯上り後
サロン(フロントの横)にて生ビール
普段生ビールを飲むことは無いので泡を楽しみます。タイではたいてい瓶ビール、コップには氷をいれて飲むのですが日本のビールよりは少し苦いので丁度いい
サロンには年期の入った島崎藤村全集
夕食
一番早い18時の夕食にして日本酒のみつつのんびり食べます。
大部屋ですが衝立で仕切ってあるので個室みたいなもんですね。
蕎麦懐石や信州牛プランなどありますが、蕎麦は草笛で食べるし牛は特に食べたいわけでもないのでスタンダードプラン。基本的にはなんでも食べるので内容は全く気にしてません。
お品書き
個人的にはお品書きはいらないタイプ。
日本の旅館はホテルと違いハーフボードが基本で食事内容も決められていることが多いです。料理を選べるプランなども有りますが、「今夜の食事はなんだろうな?」ってのも楽しいじゃないですか? アレルギーや偏食のあるかたはそうはいきませんが何も知らずに食卓につくのもたまにはいいですよね。
といっても料理をみても何を食べているかさっぱりわからないので、お品書きはあると助かる。
料理説明もありさらに助かる
これは助かりました!おかげで知ったかぶりができる!
従業員さんが客席で説明する時間を短縮する目的もあるのかもしれませんが、ここの従業員さんは皆、どうでもいい話にたくさん時間を使ってくださいました。
席についた時のセッティング
真ん中のお猪口みたいなのは食前酒「藤村のにごり酒」
このにごり酒は小諸市内にある大塚酒造のものでなかなかパンチのあるお酒、帰りに酒造で買って帰りましたが食前酒くらいの量が美味しく飲めました。
ドリンク
現荘主の三男が小諸市内でワイナリーをジオヒルズというやっておりそこからのワインがメイン
このハニージンジャーハイボールも気になりましたが
やはり日本酒でしょう!
酒は常温!と強いこだわりがありますが、、、
『浅間獄 純米生酒 献寿』
たまには生酒もいいでしょう
先付け
甘酒養老豆腐
すり下ろした山芋を使った料理を養老というそうな。。
料理説明が無いと何食べてんだかわかりませんな。
お造り
大王岩魚昆布〆と鮪
岩魚は美味しい、鮪はイマイチ。。。
安い店とはいえ刺身や寿司で鮪を食べまくってるので舌が飽きてきたのか。。
焼き物
信州サーモン味噌漬け
信州サーモンはニジマスとブラウントラウトの交配種なんだって
冷鉢
無花果ワイン煮とちんげん菜
この無花果のワイン煮は美味い!もう一個食べたかった!
蒸物
茶碗蒸し
美味しい、柚子胡椒の餡がかかってますがこれがよかった
揚物
鮎木の芽揚げ、梅干しチーズ
旅館で食べる揚げ物はおいしい、中身はなんでもいいのです
釜炊きご飯
今思えば白御飯でよかったかな。。。
汁物に香の物
漬物が抜群に美味い!
季節のデザート
完全にイメージできませんでした、スイカが二切れ。。。
懐石料理なんでこんなものか。。。
タイじゃないんだから簡単にフルーツ盛り合わせなんて出てきませんよね。
おいしかった!
生酒なんてあまり飲まないけどこの献寿は美味しいですね~(帰りに酒造で1本買っちゃいました)
量を食べる人にはちょっと少ないと思いますが、お酒をチビチビやりながらゆっくり食べたので丁度よかったかな。
おかげで初日は気持ちよく眠れました!
翌朝
やはりお風呂が宿泊している棟にないせいか朝食前に入れませんでした。
ここはチェックアウトは11時なので朝食後に入ります。
朝食は1番早い7時にしてもらいます。
献立
小鉢が綺麗に並びます
麦とろ御飯、みそ汁、温泉卵
カレイの西京漬け
川魚じゃないのね。。
りんごジュース
これ凄い美味い!
もっと欲しかった。。。
昼前に蕎麦食べるんで適量でしたね。
昨夜のお酒も全く残らず、、、やっぱり献寿、良い酒ですね。
さて後は朝風呂入って懐古園まで歩きます。。。
1泊ってのはあっという間ですがなんとなく旅情があっていい。。
タイのビーチでは1泊ではとても短いのでありえませんが日本の旅館は1泊でも満足できますね。
チェックアウト時は女将さんが出てきてく半時間ほど長話をしてしまいました。
バイク---大型バイクに乗って北海道へ登山、しかもバイクは50過ぎてから乗り始めたという。。
*女将さんの乗るような大型ではありませんがインドではロイヤルエンフィールドの350ccに乗ってました。
登山---ピッケル・アイゼン持って100名山を登り
*100名山なんて大きなコレクションはありませんが、自分なりにちまちまと登ってます。
スキー---子供達にはスキー競技をさせておりお嬢さんは全日本にも出たそうな。
*道具提供をうけていたメーカーが自分と同じ会社(年代が違うので面識ありません)だったのです。
と自分の経験とつながる話が多くて。。。
帰りはあえて元館の玄関から
ほんと急な石段
これはカミキリ?
坂を上ると展望が開けますが千曲川は見えませんな。。
懐古園まではずっと登りですが、案内とおり20分くらいで到着。
中棚荘、、、小諸市内にいくつか温泉はありますが駅から徒歩で行けるのはここくらい。建物の雰囲気もよくお風呂はかなり好みです。
食を重視する方には物足りないかもしれませんが自分には丁度良かったです。
今回は急遽一人で来てしまいましたが、次回は女房と2泊くらいしたいですね。
ーおしまいー